分け合って足りないものは、奪い合っても足りない

「うばい合えば足らぬ わけ合えばあまる」という標語をあちこちで見かけるようになりました。でも、これは間違いです。奪い合おうが分け合おうが、足りないものは足りないし、余るものは余るのです。総量が同じなら分配の方法によって変化するのは過不足が発生する場所だけです。そんな身も蓋も無いような事実であっても、表題のように言い換えれば新たな気付きも生まれるというものです。
奪い合って手元に欲しいものが届いてしまえば、一見自分だけは足りたように感じてしまうことが何よりの錯覚なのです。
2020年1月、中国の武汉市における新型肺炎感染者の大量発生を端緒として生じている、昨今のマスク騒動が正にそう。早くから並んだり、高いものを買ってマスクを手に入れた人が「勝者」なのでしょうか?

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軍事用のガスマスクとかなら話は別かもしれませんが、薬局などで売られている一般のマスクを健康な人が着用しても、ウィルスの感染を防ぎきれないのは報道されている通りです。既に感染している(かも知れない)人が、それ以上他者に感染させ難くするためにマスクは使用するものなのです。ですから、今あなたが頑張ってマスクを入手したことにより、マスクを手にできなかった感染者がマスクを着用せずに出歩けば、結局あなたの元にもウィルスはやってきます。
足りないものは足りないのです。ゆったりと落ち着いた気持ちで行動することが一番だと思います。