フランシス・スコット・キー橋

 2024年3月27日朝のニュースはアメリ東海岸の都市ボルティモアのPatapsco川に架かるボルティモア・ベルトウェイの崩落事故で持切でした。

 

 下の写真はグーグル・ストリートビューから貰ってきた事故前の橋梁の様子です。写真中、AからBの区間およびEからFの区間は普通のラーメン構造の橋梁ですが、B,C,D,Eと示した4つの橋脚に懸架された3径間がトラスによる吊り橋となっているようです。どうやら、このCの橋脚にタンカーが衝突した模様です。

 当初違和感を覚えたのはD-E間の橋桁にまで瞬時に被害が及んだことでした。衝突に関係するB-C間およびC-D間の橋桁が崩落することはともかくとして、橋脚を超えた部分が影響を受ける理由が思いつかなかったからです。

 船舶の衝突による橋梁の被害と言えば、2018年9月4日の関西空港連絡橋の事故を思い出さざるを得ません()。この時はタンカーが衝突した附近の2径間はずれ動きましたが、それ以外の橋桁にはほとんど影響が及ばず当該橋桁を交換するだけで約7か月後に運転再開となりました。

 思えば関西空港連絡橋はラーメン構造となっています。この場合、橋脚の上に橋桁を載せただけなので離れた径間にまで及ぶ影響は少ないものと考えられます。一方、吊り橋の場合は橋脚上方で、あたかも弥次郎兵衛のようにバランスしているため、一方の橋桁の荷重が失われれば反対側の橋桁も崩落してしまうという事なのかも知れません。下の写真を見れば、確かに今回のボルティモア・ベルトウェイの橋梁もラーメン構造の区間には、殆ど影響が及んでいないようにも見えます。

 日本国内にだって多径間の吊り橋は幾らも有る事でしょう。今後、崩落のリスクも考慮した建設・運用が求められるようになってゆくのかも知れません。